JTBが2019年4月から、一部店舗における相談業務に関して来店客から相談料を徴収している。旅行計画作成のための相談の場合、国内旅行の基本料金は30分2160円、海外旅行は30分5400円である。
相談料金は標準旅行業約款でも定義されているし、店頭にも掲示しているものの、実際には徴収できていなかったことが背景のようだ。 試験的に導入しただけであり、今後どうなるかは顧客の反応次第のようだ。
有料化に対する顧客の評価は様々である。「(相談料金に見合う)しっかりした案内をしてくれている」という評価もあれば、「戸惑いを覚える」という評価まである。事前に相談料が有料であることを説明すると、相談をしないで帰る方もいるとのことだ。
この流れをどう評価するかは人によって分かれるが、少なくとも下記のような論点があるのではないだろうか。
第1に、相談料金は店頭に掲示されている。そのため、JTBの客として支払うのは当然であり、法的義務もあるだろう。普通は相談ぐらい無料のはずだという方もいらっしゃると思うが、支払うのが嫌なら他の会社の店舗で相談すればよい。旅行会社はたくさんある。あるいは、現在はインターネットが普及しているので、インターネットで調べればよい。代替手段はたくさんある。
第2に、JTBは、従業員が顧客の旅行プランの相談に乗れるように従業員を教育している。教育には時間もお金もかかる。よってJTBが手塩にかけて育てた従業員が相談業務でタダ働きすることになれば、JTBは教育コストを回収できないので、相談業務を行うだけ赤字を垂れ流すことになる。顧客が冷やかし客であればなおさらだ。顧客の中には真剣に相談をしたいという方もいらっしゃるので、相談業務がなくなればその顧客は困るだろう。
第3に、有料化することによって、JTBの従業員の責任意識が高まる。顧客としても、料金を払っているのだからしっかり案内して欲しいと思うはずである。やっつけ仕事をされたときには、店舗にクレームをつけてもおかしくない。よってJTBは有料化によって、一層質の高い相談サービスを提供できるのである。これは顧客にとっても利益のあることではないだろうか。
観光庁長官の田端浩氏は有料化について肯定的であり、他の大手も続けば良いと期待する。『お客様は神様』の発想で何でも無料にし、結果的にクオリティが下がってはいけないと述べた。
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