[観光庁]宿泊業はどのように生産性向上を行えばいいのか

近年、人手不足が叫ばれている。そのため、少ない人手で、より多い仕事をこなすという生産性向上は急務である。これについて安部総理が、『生産性向上の鍵は、正に人づくりでもあろうと考えている。私は、次なる安倍政権の柱を「人づくり革命」とする』と発言している。

そこで観光庁は、宿泊業の生産性向上事例集を発表した。事例集は大きく分けて次の項目からなる。

CASE1:マーケティング
CASE2 : 人時生産性の向上
CASE3 : シフト改善、中抜け勤務の解消・見直し
CASE4 : 業務改善、マニュアル化・マネジメントの徹底
CASE5 : 人材育成・定着化
CASE6 : IT化・機械化・道具化
CASE7 : 5S・3定、レイアウト改善による効率化
CASE8 : 水光熱費の削減

それでは、1つ1つ事例の一部を簡単に紹介していこう。詳細は観光庁のHPを参照されたい。HPでは事例が動画で紹介されているので、適宜参照されたい。

「マーケティング」は、自社の強みを活かすことだ。例えば、あぶらや燈千は、強みであるルーフトップバー(屋上テラス)をアピールした。これによって集客改善を狙う。

https://www.jalan.net/yad300694/

次に、「人時生産性の向上」とは、時間当たりの付加価値額を向上することである。例えば、ほほえみの宿滝の湯は、予約状況を見て、どれほどの人員を配置すべきかを柔軟に決定し、無理や無駄を削減した。

「シフト改善、中抜け勤務の解消・見直し」は、マルチタスクを導入して中抜け勤務を解消し、働きやすい環境づくりや休日の増加を目指すものだ。中抜け勤務とは、6時始業・20時終業で、そのうち9時~15時の6時間は休憩などといった勤務体系だ。例えば下部ホテルでは、接客部門に中抜け勤務が生じていたが、接客部門を他のフロント部門及び内務部門と統合して、1人のスタッフが複数部門のタスクをこなせるようにした。これにより中抜け勤務の発生を避けることができた。

「業務改善、マニュアル化・マネジメントの徹底」は、組織のムダやムラを発見して解消することである。例えば、マルチタスク化によってお客様の待機時間を解消したり、客室のセッティングマニュアルを作成することが挙げられる。

「人材育成・定着化」は、動画やスキルマップを活用して人材育成を行うことである。例えば、動画を使ってマニュアルをわかりやすくしたり、上司との面接でOJT目標の設定を行う。

次に「IT化・機械化・道具化」だが、ITや機械を使う事によって、業務の効率化や、海外のお客様とのコミュニケーションの向上を図ることである。例えばプラザホテル豊田では、チャットワークを使って必要情報を必要な範囲で共有した。また綿善旅館では、各階にタブレットを設置して、スタッフ間での情報共有を迅速化した。

「5S・3定、レイアウト改善による効率化」とは、5S(「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」)と3定(モノは定位置に、定品を、定量だけ置きましょう)とを徹底することである。具体的に言えば、食器の収納位置を明確化したり、備品在庫の見える化を行うことである。

最後に「水光熱費の削減」であるが、これは、施設の水光熱費の実態を把握し、コストダウンを図ることだ。例えばあぶらや燈千では、水道費が高くなっていた。そこで、食器洗いの際に水を流しっぱなしにしないように、水を流す前にある程度の使用済み食器を溜める。そして、水を流す際には他のスタッフが加わり、食器を水で洗う時間を短縮する。

以上のように、生産性向上には多くの事例がある。日常業務が忙しく生産性向上に取り組む時間が取れない場合もあると思うが、長い目で見れば、生産性向上は日常業務を楽にしてくれる。そのため、経営者や管理職の方々は、以上の事例を参考に、生産性向上に取り組んではいかがだろうか。

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