[現役ホテルウーマンに聴いた]コロナで変わった業務、客層、賞与/「人生の迷子状態に」

新型コロナウイルスが私達の生活を変えている。そこで当社は、コロナ禍で宿泊、航空、観光などの業界に携わる個人にスポットを当て、インタビュー特集を実施している。今回は、現役でホテルに勤務する女性に話を伺った。

[回答者]
あや(30代前半女性)

[職歴]
2009年~2015年 広告代理店勤務
2015年~現在 地方ビジネスホテル勤務

[勤務先の所在地]
岡山県岡山市北区

[勤務先の旅館/ホテルの種別]
ビジネスホテル

──コロナ前の業務内容を教えて下さい

勤務時間によって多少異なりますが、メインはフロント業務をしています。宿泊カードへの記入を含むご予約のお客様のチェックイン・チェックアウト作業とお会計・クレジット受付が中心です。予約はWEBと電話で受け付けていますので、リアルタイムでの管理は欠かせません。

また、問合せへの電話対応のほか、お泊りの方からのさまざまなご依頼にも対応します。例えばモーニングコールやタクシーの手配、お体の不自由な方のサポートに加え宅急便で届く荷物の対応や管理などもあります。私の働くホテルではレストランを併設していますので、お客様からの要望があれば席を手配することもありますし、レストランスタッフとの連携も大事な業務のひとつです。「コンシェルジュ」といえば聞こえはいいですが、まさに「何でも屋」さんですね(笑)。夜勤時には巡回をしたり、体調不良のお客様に対応したりもします。ほか、設備関係や備品は外部へ発注していますので、そういった会社さんとのやり取りもしていますし、雑誌やWEBへの広告掲載のお願いや原稿確認、対応などをすることもあります。

──コロナ禍での業務内容の変化、客層(国籍、性別、年齢)の変化、地域の変化、出勤頻度の変化、ご自身のライフスタイルの変化等を教えて下さい

業務内容はそんなに変わりませんが、一時期レストランが閉鎖していたためレストラン関連の業務はなくなっていました。また、ウイルス感染対策のガイドラインが策定されてからはそちらの作業がけっこう大変です。換気や飛沫対策、アルコール消毒、検温など多岐にわたります。

お客様の数は2~4月にかけて減り始め、緊急事態宣言が出た5月あたりは例年の8割減という日もありました。イベントが中止になったせいで、前々から入っていた予約のキャンセルも相次ぎました。ただ、6月からはビジネスマン中心に少しずつですが回復し、8月くらいには7割くらいにまでは戻りました。地方で感染状況も比較的落ち着いているためか、現在は「Go Toトラベル」キャンペーンのおかげで予約も入り始め、むしろ忙しいくらいにまで回復しています。コロナ前と比べて大きく変わったことといえば、外国からのお客様がいなくなってしまったことです。渡航制限があるため、特に欧米からの方は長くゼロのままです。

4~5月の2か月だけは出勤も半分くらいテレワークになりましたが、6月以降は普通に出勤しています。一部の社員は会社内の別部門での業務に異動になりましたが、私は異動するくらいなら辞めようかと思っていました。幸いホテル勤務のままですので変わらず働いています。

コロナ禍を通して、自分の仕事について、働き方について、将来や人生について考え直す良いきっかけにはなったと思います。残業もほとんどなくなったため、今までできなかった趣味の充実や自宅のバージョンアップなどを楽しんでみたりしています。あと、人とのつながりが持ちにくくなったことで、逆にその大切さに気づけた部分もあります。疎遠だった友人や家族と連絡を取るようになったり、恋人をより大事にするようになったりと、悪いことばかりではありませんでした。

──給与・賞与への影響を教えて下さい

正社員ですので、給与は今のところ変わらずいただけています。ボーナスは毎年2~4か月分くらい出ていましたが、今年は支給自体が厳しいと言われてしまいました。出たとしても高校生のおこづかいくらいかと思います。とはいえ、うちの会社は手広く業務を行っており、飲食・不動産・パチンコ事業なども手掛けておりますのでまだマシかもしれません。多少はカバーできているそうですので…。正直なところ、今年はホテル部門と飲食部門が足を引っ張っております。

──今後の転職予定の有無を教えて下さい

ホテルの仕事はとてもやりがいがあり、一生続けていきたいと思っていました。しかしコロナ禍のなかで業務が減ったり業界自体が打撃を受けるのを肌で感じ、少し考えが変わってきたように思います。社会情勢や景気の影響を受けにくい業界が見つかれば転職するのも選択肢のひとつかもしれません。また、この機会に興味があった出版業界にチャレンジしてみようかなとも考えています。

──ご自身の現状や将来についての所感を教えて下さい

たちまち減給とか失職といった影響があったわけではないですが、休日も家にいることが増えたおかげで「人生」について深く考えました。ワーカホリック気味で、これまで激務といわれるホテルの仕事もやりがいを持って働けていました。立ち止まったことで少し疲れていた自分に気づき、転職しようか、やってみたかった業種にチャレンジしようか、それとも結婚退職しようかなど、毎日のように思い悩んでいます。とはいえ、まだまだどの業界もコロナの影響が大きいなかで転職活動をする勇気も出ず…。人生の迷子状態になってしまいました。現在は「Go To トラベル」キャンペーンの効果が出つつあるので忙しくしていますが、キャンペーンが終わって時間ができたら改めて今後について考えようと思います。

──どうもありがとうございました

当社は、コロナによる宿泊、航空、観光などの業界への影響を今後も発信する。ご覧頂ければ幸いである。

【制作】ジャパンプランナーズ株式会社

関連記事

  1. [現役のホテル勤務者に聴いた]インバウンドが全くいない/「観光業に携わりたい」

  2. [現役のビジネスホテル運営者に聴いた]ホテルを全館休業に/「スタッフ達が自主退職を」

  3. [学校等の団体の受入組織職員に聴いた]顧客が欲しい地域団体と、コロナを恐れる住民との狭間に/「地方の観光は国や行政の支援が無いと続かない」

  4. [ホテル内ショップ店員への影響]コロナ禍をどう乗り越えるか/「転職を考えています」

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。