[観光庁]観光先進国の実現に向け、概算要求を対前年度20%増

観光庁は2019年8月28日に、来年度の概算要求を発表した。

概算要求の主な内訳は、「国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開」と「観光先進国の実現に向けた観光施策の着実な実施」である。対前年度比では、前者は7%増であるのに対し、後者は20%増である。そして後者の中でも伸び率が大きかったのは、「戦略的な訪日プロモーションの実施と観光産業の基幹産業化」(対前年度比30%増。約126億円)である。この記事では、その分野に絞って、具体例の一部を以下の通り紹介する。

○戦略的な訪日プロモーションの実施
観光庁は、市場別プロモーションを徹底する。例えば欧米豪地域からの旅行者に対しては、アクティビティを中心としたプロモーションを実施する。一方でアジア地域からの旅行者に対しては、個々の旅行ニーズに応じたきめ細やかなプロモーションを実施する。他にも、アジアのリピーターに向けたキャンペーンの実施や、オリパラ関心層をターゲットにしたプロモーションを実施する。ただし、オリパラ開催により訪日客が東京へ集中することを防止するため、訪日客を地方へ誘導することや、訪日時期の分散も行う。

○MICE誘致の促進
MICEとは、Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨・招待旅行)、Convention またはConference(大会・学会・国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語であり、ビジネストラベルの一つの形態である。MICE市場は世界で約30兆円規模で大きいため、各国による競争が益々激化している。観光庁は、国際機関や各国と連携して、国際シンポジウムの開催を行う。

○観光産業における人材確保・育成事業
観光産業に携わる人材が質・量両面において不足している。そこで、観光産業における専門能力の習得を目的としたカリキュラムの策定を行う。また、宿泊業や旅行業等の観光産業従事者を対象とした、社会人向け教育プログラムを複数大学で実施する。

○宿泊施設の生産性向上推進事業
宿泊業は、他産業と比較して相対的に生産性が低い。従来の経営ノウハウから脱却するために、業務効率化や施設間連携による生産性向上の取組みを支援する。

○通訳ガイド制度の充実・強化
質の高い通訳案内士を維持する。例えば観光体験型ガイドサービスの優良事例調査や、有資格者の就業機会の確保を行う。体験型アクティビティ等の分野においては、法改正により新規参入した資格を持たないガイドを活用する。

○健全な民泊サービスの普及
健全な民泊サービスの普及を図るため、民泊事業の適正な運営を確保する。違法民泊は排除する。

○教育旅行を通じた青少年の国際交流の促進
諸外国とのバランスの取れた相互交流や、各国の将来を担う青少年交流のより一層の拡大に向けて、教育旅行による双方向交流を拡大する。

以上のように観光庁は、2020年に訪日客4000万人突破という目標を達成するために、多くの取り組みを実施する。そのためには、概算要求額が増加することは不可避であろう。この取り組みには税金が投入されるわけであるが、世界の人々に日本をもっと好きになってもらうためには必要であると考える。有意義に使ってもらいたいものである。

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