全国の主な旅館に対し、「休館日」に関するアンケート調査が行われた。その結果、休館日を設けている旅館は約78%であった。休館日の時期は「閑散期」、「予約の少ない時期」、「連休明け」等であった。
また、休館日を設けている旅館に対しその理由を尋ねたところ、次のような回答があった。
・働き方改革の一環
・社員のモチベーション向上
・設備の点検・修繕(お客さまがいないときにしかできないメンテナンスがあるため)
休館日を設けていない休館日に対しその理由を尋ねたところ、次のような回答があった。
・売り上げ減少になる
・長期で宿泊されるお客さまがいる
・地域柄
ただし、休館日を設けていない旅館の半数以上が、その導入に肯定的であった。
以上の結果から、現状の旅館では、約2割が休館日を設けていないことが分かる。その理由のうち「売り上げ減少になる」ことや「地域柄」については、経営努力によって改善できる可能性がある。しかし、「長期で宿泊されるお客さまがいる」ことについては、経営努力では改善できないことであるし、休館日を設けることでせっかくの長期滞在のお客さまを逃してしまうことになる。そのため、休館日を設けないことには一定の合理性があるだろう。
一方で日本政府は働き方改革を推進している。年間5日の有給取得の義務化が代表的な例である。それに合わせて、従業員としても、自分の自由な時間が増えることを期待している。上記の「働き方改革の一環」や「社員のモチベーション向上」を理由に休館日を設けた旅館は、まさに改革を行っているところであろう。一方で、働き方改革を推進できない旅館では、既存の従業員が離職したり、新規採用の募集を行っても応募が来ないおそれがあるだろう。
以上のように旅館の経営者は、休館日を設けたい一方で設けられない事情を抱えている。1つの解決策としては、休館日を設けずとも社員の休日を確保することであろう。これは、特定の一従業員がいなくても仕事が回る仕組みをつくることで達成できるだろう。簡単ではないと思うが、旅館の経営を持続するためには、検討せざるを得ないのではないか。
この記事へのコメントはありません。