[観光庁]貸切バス事業者の負担を軽減へ

観光庁は、2019年8月1日に、運送引受書に貸切バスの手数料を記載することを義務化した。手数料とは、貸切バス事業者が、運送を申し込む旅行業者等に対して支払うあっ旋手数料のことだ。

旅行業等は発注者であり、貸切バス事業者は受注者だ。このため両者の間には上下関係が少なからず存在する。このため、貸切バス事業者が手数料を支払うことが商慣習上定着しているという。この手数料は、「広告宣伝費」や「協力金」といった名目で支払われることもある。

今回の義務化の背景には、2016年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故がある。事故原因としては、貸切バス事業者間の競争が激化しており、更に人手不足も相まって、旅行業者等に支払う手数料が負担になっているという見方がある。

観光庁としては、義務化によって手数料が高くなることを防ぎ、運賃の下限割れや安全対策コストが圧迫されないようにしたい。観光庁は、手数料が多額で運賃の下限割れがあったと判断した場合、貸切バス会社には営業停止命令、旅行会社には業務改善を求める。

格安ツアーが人気を集めている昨今だが、そのしわ寄せは必ずどこかに行く。今回の義務化により、貸切バス事業者へのしわ寄せはが緩和されるのは喜ばしいことだ。しかし、今度は別の場所にしわ寄せが行くだろう。旅行者は、自身の安全のために、高いお金を払って旅行をするという選択肢を考えても良いのではないだろうか。

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