政府は2020年3月23日に、第4回「新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリング」を行った。
以前の記事で訪日外国人数が58%減少したことをお伝えした (リンクはこちら) 。以下の記事では、旅行業及び観光業に関係がある鉄道業界と貸切バス業界の現状を紹介する。
1.鉄道業界
次のグラフの通り、現状としては2月下旬から輸送量が大きく減少している。
左上のグラフに示す新幹線については、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、及びJR九州の全ての地域において、3月中旬の輸送量は対前年比で50%以上減少した。特に、JR北海道の減少幅は大きく、減少幅は対前年比で70%以上だった。
右上のグラフに示す在来線についても、同様に全ての地域において対前年比で50%以上、輸送量が減少した。JR北海道での減少幅が大きかった。
鉄道業界からは、政府に対して例えば次のような要望が出された。
・学校休校に伴う通学定期券の払い戻しによる減収への支援
・固定資産税等の減免
・観光需要喚起
2.貸切バス業界
現状として、運送収入が大幅に減少している。
次のような要因でキャンセルが相次いだため、3月の運送収入は対前年比で79%減少した。
・訪日外国人の減少
・イベントの中止
・スクールバスの運休
・風評被害
被害金額は約20億円だ。来月4月の運送収入(見込み)は、64%減少だ。現場はマスクの着用、手洗い・うがいの徹底、消毒液の装備などを行っているものの、回復には程遠い。
貸切バス業界からは、政府に対して例えば次のような要望が出された。
・雇用調整助成金の補助率の引き上げ
・融資の迅速な実施
・車両のリース料の先延ばし
・マスクの供給
以上見てきたように、鉄道業界と貸切バス業界からは悲鳴が上がっている。今まで訪日外国人の増加によって業績好調が続いていただけに、反動は大きいだろう。急激な状況変化は、業績悪化や従業員の待遇の悪化に直結する。これは、鉄道業界と貸切バス業界に限った話ではない。危機的状況のもと、業界に安心感を与えられるような迅速な政府支援を期待したい。
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