メディアで人手不足が叫ばれている。その影響は宿泊業にも及んでおり、在留資格である「特定技能1号」が取得可能な分野に宿泊業が含まれていることは以前の記事でも述べた通りだ。
人手不足が進んでいるなら、各企業が少ない人手を獲得するために、待遇を上げるのが自然だろう。では、宿泊業への従事者の給与は伸びているのか。
給与に関しては、2019年9月に国税庁が「平成30年分民間給与実態統計調査結果」を発表した。
まずは宿泊業に限らず、「1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与」を見てみよう。
この表が示すように、平成30年の平均給与は約440万円であり、平成20年以降で最高値である。良い流れだろう。 ではその中で、宿泊業の給与はどうだろうか。次の表を見て欲しい。
宿泊業は飲食サービス業とまとめられているが、その平成30年の給与は約25万円である。これは業種別で最低の値だ。しかも前年比-0.9%減だ。
なぜこのようなことが起こるのだろうか。理由は複合的だろうが、その1つは、次の図に示すように平成28年以降に宿泊施設が増加して過当競争が進んでいることではないだろうか。
このように過当競争が生じている状況では、従業員の給与を上げることは難しいだろうし、会社としても利益は上がらないだろう。競争が起こるのはサービスの質の向上のために必要だと思う。しかし過当競争は当事者の疲弊を招きかねない。それが起こらないように、法律で参入規制を設けるなどの措置が必要であろう。
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