観光庁は2020年8月31日に、宿泊旅行統計調査(2020年6月の第2次速報と、2020年7月の第1次速報)を公表した(リンクはこちら)。
1.延べ宿泊者数について
結果として2020年6月の延べ宿泊者数は、全体としては前年同月比68.9%減少の1,424万人だった。日本人に限れば、前年同月比61.2%減少の1,406万人だった。外国人は、前年同月比98.1%減少の18万人だった。下図の通り、最悪だった2020年5月から徐々に持ち直しの動きが見られる。2020年7月はまだ第2次速報値が出ていないため、今後変更の可能性がある。しかし7月は6月より大きく回復する見込みだ。
2.客室稼働率について
下図の通り、2020年6月の客室稼働率(全体)は、前年同月差37.8ポイント減少の22.8%だった。個別に見ていくと、旅館の稼働率は前年同月時点で既に低かったものの、旅館とリゾートホテルとシティホテルとの稼働率は10%台である。ビジネスホテルは33.0%まで回復しているが、前年同月差で41.3ポイント減少した。
以上の通り、緊急事態宣言の解除後に旅行需要は回復の傾向を見せつつも、コロナ前の水準の半分にも満たない。
政府は旅行需要を一層回復させようと、観光支援事業「Go To トラベル」を実施している。地域共通クーポンは10月1日から利用できるようになる見通しだ。このクーポンは旅行費用の15%に相当する。クーポンは、旅行で訪れた地域、隣接エリアで飲食店や土産物店、観光施設への支払いに利用できるほか、交通機関への支払いにも利用できる。GoTo事業から除外されている東京都内では当面使えない予定だ。
世界的に新型コロナウイルスの感染が収まっていない以上、旅行需要が急回復する見込みは薄いだろう。感染拡大の抑止と、旅行文化の維持とを両立する術を少しずつ模索していくしかないだろう。
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